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現実は混とんとしている

2017.07.07

「ピカソの絵」

「ピカソの絵」と聞いて何を連想するでしょうか?
「横顔なのか正面向きなのかよくわからない顔の絵!」
皆さんが、その感じの絵を想起されたら、私のお話も前に進みます。
銀行に勤めていたころから、顧客や状況の把握がポイントとなる場面に際して、部下に対応方法をアドバイスするときによく使った表現です。

曰く、「真実は、ピカソの絵だ。」と。
当然、相手は、ポカンとします。これも狙いの一つなのですが、私が、何を伝えたかったかというと、「物事には、多面性があるということ。」「トラブル対応などでは、顧客の言いたいことを論理的に聞きすぎると誤解が生ずるということ。」とにかく、うまくいかない理由は、出てきた事象を一面的に捉えていることに起因することが非常に多くあるということです。営業活動なら、顧客ニーズや顧客心理をうまくキャッチ出来ないことで、販売が失敗することになります。最悪なケースはトラブル対応の時です。

顧客の気持ちを理解する姿勢

例えば、顧客がクレームを訴えてくる場合、誰でもその状況を詳しく聞くようにするでしょう。そこまでは良いのですが、いくつかのことが顧客から出てくると、これに一つ一つ回答をしていく部下がいます。それで解決するケースもあるのですが、これが失敗に終わると次の対処が少し難しくなります。何がいけなかったのでしょうか?

「この顧客はいろいろ言ってきているけど、要するに何を求めているのかな」というスタンスが不足しているのです。要するに「顧客の気持ちを理解できていない」ということです。

そして、顧客理解のポイントは、「その真実は、ピカソの絵だ」です。論理的に顧客を短絡的に理解してはだめなのです。言っていることが矛盾していても、おかしくても、まずは、そのまま聞き取って、そのまま受け取るのです。そうすると、顧客の考えや感情が理解できるようになります。少なくとも相手に「この担当者は、私の話をよく聞いてくれる」という印象を与えることができるのです。いわゆる「ラポールがかかる」わけです。顧客の言い分に対応するのは、それからです。その際、顧客に直接話しかける前に、自身の中にイメージされた顧客に話しかける(シミュレーションしてみる)のもいいでしょう。その上で、適切な返しをしていけば、いいのです。想定した回答が返らないときは、そのリアクションに基づいて、「顧客イメージを修正していく」ことも大切です。

もちろん、ベテランの営業マンになれば、顧客の要望を論理的に整理して、迅速に対応することは可能です。世に出回っている「顧客対応マニュアル本」にはこれが書かれています。
しかし、多く成長途上にある営業マンには、それが活用できないのです。
結局、愚直に顧客の話を聞く営業スタイルの方が、最初は通用するかもしれません。

論理も感情も多面的である

「真実はピカソの絵」ということは、営業活動だけに留まりません。事業計画作成作業でも注意喚起の標語になります。当然といえば当然ですが、企画書は、論理的に構成されています。その結果、何が起こるでしょうか。その企画書のロジックに当てはまらない事象はカットされてしまうのです。私も、メーカーの管理部門の責任者をしている際、親会社の新規事業案件の企画を任されて事業計画書をいくつも作成しましたが、役員会に報告する際は、わかりやすさが要求されるためかなりの部分(ロジック)をカットして提出していました。本来は、事業計画の成功を確実なものにするために、労を惜しまずに、多面的な切り口で検討を加えたものにした方がいいのではないでしょうか。(ピカソの絵のような事業計画書になってしまうかもしれませんが。)将来的には、コンピュータツールが進化して、事業計画書を平面に描くのではなく、立体的な作成フォームに落とし込むことができるようになると、思考も立体的に表現可能になるのではないかと思います。

或いは、転職活動をする皆さんの心の内も、まさに「ピカソの絵」となっているかもしれません。「思い・考えが混とんとしている」という状況です。様々な思いが交錯しているわけです。「もっとやりがいのある仕事に就きたい」「安定した環境で仕事がしたい」「有名になりたい」「お金を稼ぎたい」「郷里にもどりたい」「大手企業で活躍したい」「成長企業で重責を担いたい」「家庭を大切にしたい」。現実は言わば「平面の世界」なのに対し、皆さんの心の中は、「立体の世界」、「高次元の世界」ではないでしょうか。

でも、そのような気持ち・考えは、持っていいのです。分かりやすい絵を平面(現実)に描こうとしないで、そのまま受けとめましょう。その上で(頭脳にではなく)心に問うてみるのです。「私は、どうありたいのかと」

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