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大学におけるキャリア教育を考える

2017.07.13

人材養成における企業の大学評価は高くない

学校でのキャリア教育が言われだしたのはもう随分前のことになりますが、最終的に若者を社会に送り出す立場にある大学で企業の十分な評価を得ているところは少ないのではないでしょうか。実社会に役立つ人材をもっと要請してほしいとの経済界からの要望は強く、経済界のこの面での大学評価は決して高くないと思います。何故でしょうか?
経団連の「2016年度 新卒採用に関するアンケート調査結果」で、選考にあたって特に重視した点の上位5項目は、コミュニケーション能力(87.0%)、主体性(63.8%)、協調性(49.1%)、チャレンジ精神(46.0%)、誠実性(43.8%)でした。これらを向上させる取り組みが、大学でどの程度、実施されているのでしょか?

ここまでお話しを進めてきて、少し反感を覚える大学関係者も多いのではないでしょうか?「大学は、学問研究の場で、企業の求める人材の養成校ではない」という反発です。

私は、少し乱暴な言い方になるかと思いますが、キャリア教育プログラムは、この大学の古典的な運営理念と経済界等からの社会的要請を仲裁するものとして、作られたと感じています。各大学は、もともと、明文化しているか否かは別として、建学の精神とか理念や大学の学部学科の運営に関する基本方針を持っています。これに基づいて、各学部学科の大学は、教育カリキュラムを編成し運営されています。これは、文部科学省に届出あるいは申請し、認められた内容です。大学がまず行わなければならないことは、そのカリキュラムをしっかりと実施し成果を上げることです。従って、大学の多くの教職員は、本音のところでは、キャリア教育にはあまり関心がありません。それは、キャリア関連の教員・職員のみが担うテーマだと思っているのです。(少し言い過ぎたかもしれません。関係者の皆様申し訳ありません。)

動き始めた大学の人材教育改革

しかし、大学も少子化の波の中、社会の人材養成ニーズに対応することで社会的評価を高め、生残りのための取組を進めていかなければならなくなってきています。文部科学省も大学教育の質的転換を掲げて「三つのポリシー」に基づく大学教育改革を進めています。

「三つのポリシー」とは、①卒業認定・学位授与の方針(ディプロマポリシー)、②教育課程編成・実施の方針(カリキュラム・ポリシー)、③入学者受入れの方針(アドミッション・ポリシー)です。その上で、①のディプロマポリシーを起点としたPDCAサイクルの確立によりその実効性を高めていこうとしています。これらのポリシーは情報公開が義務付けられ、これにより、高校の進路指導の改善や産業界からの理解を得て連携を強化することとしています。

長すぎるPDCAサイクル

これらの取組は成果を上げることができるでしょうか?残念ながら、かなり困難なものとなると感じています。理由はいくつかあります。一つ目はPDCAサイクルです。大抵の大学は短くても1年でしょう。PDCAサイクルの1回転が長すぎるのです。取組から課題を発見し、改善策を考えて、再度実行に移すまでが長すぎて、効果的な改善活動が行われない可能性があります。形式的なものになってしまうのです。私は、「PDCAは基本は長くても1カ月だ」と思っています。3か月以上のサイクルで効果検証をすることも必要だとは思いますが、目標達成のためにはこのサイクルは役に立ちません。企業の営業職を例にとってお話ししましょう。営業目標は大体は1か月区切りです。行動目標の場合は1日単位のこともあります。一日の訪問件数○○件とか有効顧客(獲得可能性のある案件顧客)○○件とかです。営業マンは、その月の売上目標を念頭に営業活動をしています。その中で、案件の確度を見積もります。あとは確率論です。A案件は今月売上確実、B案件は来月にずれ込むかも、C案件は契約自体が五分五分などと案件の当月に達成できる可能性を読み込むわけです。できる営業マンほど、その見込み判断が正確で客観的で迅速、出来ない営業マンほど希望的観測に流され且つ曖昧で遅い、結果として目標未達成ということになります。

要するに目標(計画)と現実のギャップを冷静に常時イメージし、そのプランニングギャップ状況に対し、出来るだけ早期に対策行動を建てて実行していくということが重要なわけです。そして、「対策行動は、迅速」にです。悩んでいる暇などありません。スピード感をもって実行し、駄目なら再度、対策を打っていく。間に合わなければ、ゲームオーバーなのです。「PDCAサイクル1年で1回転」では、効果的な取り組みは難しくなるのです
2つ目は学生の成長スピードです。「PDCAサイクルは長くても1か月」とお話ししましたが、この期間では、「成長・変化」を把握することは困難と言えます。

要するにPDCAサイクルを回しやすい「行動目標・サブ目標」を如何に多く持つことが出来るかが肝要なのですが、そこまでブレイクダウンすることは難しいのが現状です。このことは、また別の機会にお話ししたいと思います。

企業との連携が成功の鍵を握る

いろいろと難しい問題を抱えている「大学のキャリア教育」ですが、解決の糸口は、やはり企業との連携にあると思います。大学を支えている人材は一般企業での勤務経験がない「教育関係者」がほとんどです。企業が評価する人材をイメージしようとしてもそこには限界(溝)があります。その溝を埋め、超えるには企業・社会との絶え間ない交流が必要なのです。それは、年に何回かの交流会といったレベルではなく、日常的であるべきです。また、もっと多くの企業経験者が、教員として大学スタッフに加わっていくことも必要だと思います。私も銀行員として様々な企業に外から(深く)関わり、理解しているつもりでいましたが、実際に一般企業の管理部門責任者や事業部門責任者を経験して、銀行時代の知識が如何に浅いものだったかを思い知らされました。(私と違い深い理解と知見をお持ちの銀行員もいるとは思いますが)。その経験は、仮に私が銀行に戻ることが出来たら、例えば、その提案営業力は数倍にアップしたと感じました。同様に、大学と企業の人材交流は、大学と企業双方にとって、有益であると思います。重要なのは、大学のカリキュラムの中に、どの程度のキャリア系カリキュラムを入れるかという議論ではなく、大学運営全般に一般企業が持つマインドを如何に取り入れていくかではないでしょうか。

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